僕が社会人になって初めて働いた会社は、今でいうブラックに近い会社だった。
定時に出社して退社できたのは、入社したその日だけ。
残業も毎月45時間以上は当たり前で、定時を2時間過ぎたのに課長に「塚田くん今から横浜行ってきて」と言われる事があった。僕が働いていたのは世田谷区の下北沢というところだったので普通に往復だけで1時間半はかかる。
そういう会社だった。
でも僕は初めて働いた会社だったし、「お金を稼ぐのはたいへん」というのが頭にあったのでこれが普通なんだろうと思い、特に不満なく働いていた。
ちなみにブラック企業はグッドブラック企業とバッドブラック企業に分かれるらしい。
グッドブラック企業は「仕事はきついけど、社員を育ててくれる会社。一人前にしようという体制が整っている」会社。
そしてバッドブラック企業は「嫌がらせや給与の未払い、上司の横暴、社員をコマのように扱う」会社らしい。
僕のいた会社は間違いなくグッドな方だった。
それは皆で僕を育てるという気持ちがひしひしと伝わっていたし、お姉さま方達からも僕を「一人前の大人にする」という使命感みたいなものを感じられた。
アットホームな会社でもあり一度盲腸で仕事を休んだ時、一人暮らしの僕を心配して部長が「困った事が有ればなんでも言え!」とわざわざ連絡をくれた時は嬉しかった。
長時間残業だったり、参考に出来ない事はあるけど、あの時の経験が今のチームワークや顧客への対応といった仕事に対する考え方、立ち振る舞いに大きく影響していると思う。