ニュージーランドに留学していた頃、
ニュープリマスという街に友人3人と自転車で旅行をした。
ニュープリマスは僕の住んでいたパーマストンノースから
200キロ以上離れている街だったので4日かかった。
宿泊は全てバックパカーズという安ホテルに泊まった。
初日のバックパカーズは2段ベッドの上のベッドが外れそうになったり、
2日目のオーナーはベロベロに酔ってて次の日、倍の宿泊費を請求してきたり、
3日目の宿は使われなくなった古い学生寮をバックパカーズにしていて
雰囲気は映画シャイニングの洋館。しかも客は僕達だけ。
みんな怖くて2人しか入れないシャワールームに4人みんなで入った。
やっとたどり着いたニュープリマスのバックパカーズは、
これまでと違い屋上のバルコニーからは海のみえる綺麗なところだった。
バックパッカーズの前の通りは工事中で、そこの警備員も宿泊していた。
2日目、夕食にピザをテイクアウトしてバルコニーで皆で食べていると、
休憩中の警備員が「ピザのいい匂いで腹が減るよ」と
話しかけてきた。
ぼくたちは「ごめん。ごめん。」と笑顔で答えてそれから少し会話をした。
途中なんでそういう話になったのかは覚えてないが彼が
「俺はラッキーなんだ」と言った。
「なんで?」と聞くと
「俺には仕事がある」と自信満々に答えた。
はじめよく意味がわからなかったが
よくよく話を聞くと当時のニュージーランドには、
なかなか仕事がなく就職することは大変だったようだ。
だから彼は仕事が出来ることがラッキーだと言ったのだった。
あの時の事はとても記憶に残ってて、当時の僕は
「仕事があるって恵まれてることなんだな」と思ったのを覚えている。
あれから僕も社会人になり仕事をしているが、
ふとあの警備員の事を思い出すと、身が引き締まる。